お話

消えた鱗片 ー序章ー

人間は破壊していきました。森を海を空を。

この世界の均衡を保つものまで破壊していきました。

万物に宿っている精霊。彼らが世界の均衡を保っていたのです。

精霊たちは何百万年にも及ぶ破壊に怒り狂っていました。

そして今にも人間に支配されているこの世界の均衡は崩れようとしていました。

 

ー人間が現れてから680万年ー

人魚たちは泳いでいました。人間というものが現れたことは知らず。

ただ幸せに泳いでいました。

ふと海面に淡いオレンジの光が映りました。

人魚たちは何も知らずにそれに近づいていきました。

ー人間が現れてから689万年ー

妖精達は山の中で神気を作っていました。

一つ一つ丁寧に小さな魔法をかけて作っていました。

神気は精霊になくてはならないものです。

不意に遠くの方に煙が立っているのが見えました。

妖精達は煙を見たことが一度もありませんでした。

人間がそれを出しているなんて知っているはずがありませんでした。

ー人間が現れてから699万年ー

ペガサス達は星を繋いでいました。星はこの世界の行く末を導いています。

ペガサス達は遊びながらどんどん繋ぎます。

でもなぜか最近空の空気が重たいのです。

ペガサス達は空の下の世界で異変が起こっていると気づきました。

ー人間が現れてから700万年ー

ジェナはアルプス山脈の上にある小さな集落に住んでいました。

ジェナは船に乗って世界中を旅することを夢見ていました。

そして16歳の夏、念願の自分の船を手に入れました。

そしてジェナは初めて見ました。山から見た海じゃなく

自分の目の前にある海をジェナは見ました。